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最高裁判所第二小法廷 昭和42年(オ)1075号 判決 1968年2月23日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人阿部明男、同多加喜悦男の上告理由第一点について。

所論は、要するに、原審の所論の判断が判決の既判力に関する法律の解釈を誤つたものであるというにある。

しかしながら、原審は、本件法定地上権譲渡前の地代について、被上告人と訴外森田との間で確定した地代額を、上告人が右譲渡の時に遡つて承継した旨を判示しているのであつて、所論の地代確定判決の効力が上告人に及ぶことを認めたものでないことは、原判示に照らして明らかである。しかして、原審の右判断は正当であつて、その判断に何らの違法もない。したがつて、原判決に所論の違法はなく、所論は原判決を正解せず、これを非難するものであつて、採用できない。

同第二点について。

上告人が地代を弁済供託したとの事実は、上告人が原審の終結に至るまで何ら主張しなかつたところであるから、原審において、その事実を主張立証するよう上告人をうながす義務のないのは当然であつて、それをしなかつた原審の手続には何ら所論の違法はない。論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎)

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